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アンネの日記 損壊事件

東京都内の公立図書館の蔵書

『アンネの日記』とその関連本が破られるという事件が起きています。

犯人は何の目的・理由でこんなことをするのでしょうか?

私には想像もつきませんが、

本を損壊するのは絶対に止めてもらいたいと思います。



理由は3つです。



1つ目は、図書館の蔵書は住民の税金から購入されている住民の財産だからです。

財政難のため、各地の住民サービスが削られていますが、

図書館の図書購入費も年々減額されているところが多いです。

少ない購入費の中から、住民により良いサービスを提供するために、

司書の皆さんはどの本を購入すべきか頭を悩ませています。

一度購入したものは、丁寧に扱えばたくさんの人に読んでもらえます。

今回のように、損壊してしまってはもう読むことはできませんし、

人気のある本は、再度購入することになるでしょうから、

本来なら別の図書が買えた費用を泣く泣く譲ることにもなります。

図書館の蔵書に限らず、

公園の遊具や公共の施設なども

住民の税金によって賄われている財産ですから

大事に利用したいものです。



2つ目の理由は、紙媒体の貴重性です。

出版社からまとまった数量が発行され、

人気があれば増刷もあるので部数は増えます。

初版本にこだわりが無ければ部数の多い作品は

手に入りやすいでしょう。

ところが、発行部数が少なかったり絶版になっていたりすると

そのものは手に入らなくなるのです。

『アンネの日記』やその関連本は、

多くの出版社から多くの訳者・著者によって出されていますが、

その分一つ一つの部数が少ないので、

損壊されたものと同じ本が手に入るか

分かりません。



3つ目の理由は、『アンネの日記』の作品としての価値が大きい事です。

ユダヤ人の少女アンネ・フランクが

家族や他のユダヤ人一家と隠れ家で過ごした2年間に書き留めた日記を、

戦後ただ一人生き残った父親が出版したものです。

一人の少女が心のままに書いていた生々しい「オリジナルの日記」と、

発表することを夢見て清書した「清書書き」があり、

どちらも完全に残ってはいなかったので、

差し障りの無い部分だけをまとめて出版したのが始まりだそうです。

その後、差し障りのある部分(他人の悪口や性に関すること)も含めて

「増補版」が出版されました。

私は、この「増補版」と同時に、

隠れ家生活を支援したミープ・ヒースさんの

『思い出のアンネ・フランク』(どちらも深町眞理子訳)も読み、

今はもういないアンネ・フランクの短い人生や、その時代について

考えさせられました。

戦争は大きすぎて掴めないものですが、

平和について考えるための充分なテキストになるかと思います。



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